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第30回  紅茶と文学  報告  

課題本「砂の女」

2021/9/12@吉祥寺

 

-ご挨拶-

 今回は8名の方にお集まり頂き、初参加の方が3名でした。

今回の紅茶

    1. 安渓鉄観音茶 福建省産
    2. ジャスミン茶 福建省産

■会場は再びブックマンション 

今回も会場はブックマンション。

DJ店番という事で、BGMPCDJで流しながらの当番となりました。今回は2人の人に反応してもらえたので嬉しかった笑。

読書活動を始めてから気づいたんですが、意外に洋楽ロックを好きな読書家って少ないんですよね。クラシックとか落ち着いた音楽が好まれるか、音楽自体にあまり興味がないという人が多い気がします。

■課題本

今回の課題本は「砂の女」。

昭和の文豪、阿部公房の代表作であり映画化もされたことでその知名度はかなり高い作品です。

主催の佐藤は2020年コロナ禍になって初めてこの作品を読み、衝撃を受けました。

我々がコロナでどこにも行けなくなってしまった状況と、主人公が砂に囲まれそこから脱出できないという点が非常に近しい状況だと思ったからです。


■再読して気づく「最高傑作レベル」

今回課題本を選ぶ中で再読すると、初読では読み取れなかった多くの側面を持つ作品であることに気づきました。

やや奇妙な物語のエンタメとして読むのもいいし、メタファーを深読みするのもいいし、さらに近現代の様々な社会事象と物語を通して描いているのではないか。
この「このどの様にも読める」という点を持つ小説が「傑作」である私は思うので、その意味では「砂の女」は日本文学史上の最高傑作の一つと言っていいのではないかと思います。

参加者の方がどんな意見を持ったのか、どの様な会話が読書会でなされるのか、非常に楽しみにしながら臨みました。

■皆さんが「砂の女」を読んで思ったこと

 皆さんが砂の女を読んで、また砂の女読書会を通して思ったことを書いて頂きました。
予想通りかなりバラバラな感想を持たれた様で、読書会冥利に尽きる課題本となった気がします。
 
「砂の女について印象に残ったこと」(頂いた内容から抜粋)
 
❶自由は不自由がなければ成り立たないこと
物語冒頭の「罰がなければ、逃げる楽しみもない」
この文章が物語・人間の本質を捉えすぎていて、最初から圧倒された。
主人公は圧倒的不自由な環境に苦しめられていたが、苦しんだ分、彼なりの自由も謳歌できたのかと感じた。ルールがあるから破る楽しみがあり、縛るものがない人生は退屈かもしれない。
飴と鞭のような!笑
 
女が手ぬぐいを顔にかけて、砂まみれになってるシーンは、文字だけでも視覚的にイメージがしやすかった。あのワンシーンは、もはや芸術作品。 
最後に集まった本たちを撮影。

■開催後記

再読の方も数名いて、ファンが多い小説なんだなと改めて実感しました。

主催という事もあり深読みがやや過ぎたのか、私と同じような感想を持っている方はいませんでした。でも最高のメタファー文学だと思います。

そろそろ寒くなってきたので暖かい紅茶を出せる会場でやりたいかなぁ。
徐々に行動制限も解除されたので、年内に読書好きで集まれるようなイベントが出来れば最高だと思っています。