KOYA VER1.

第10回  紅茶と読書会 報告  

課題本 「高野聖」

 泉鏡花  著

2019/3/6@雑司ヶ谷

1900年 発行

~泉鏡花 幻想小説の代表作~

幻想文学の先駆者・泉鏡花

明治時代~の文豪は数多くいるが、一人違った宇宙を持つ作家であり、

現実と異界の狭間に読者を放り込む独特の世界観は  泉鏡花か、その他か、

と言っても過言では無いのではないでしょうか。

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以下内容に触れる箇所もございますのでご了承ください。  

-ご挨拶-

  紅茶と読書会 第10回 「高野聖」のレポートです。

 今回は11名の方にお集まり頂き、初参加の方が3名でした。

 今回の紅茶

スパイスチャイ

  1. ローズブレンド&ラベンダーブレンド

■泉教好きが好きな作家とは

満を持して、と言うと大げさでしょうか。今回は読みにくい作家ランキング上位に位置するであろう、泉鏡花を取り上げました。

人が集まるかどうかやや心配ではありましたが、結果的に9名の方にお集まりいただきました。

今回は参加者に好きな作家(作品)を一人ずつ挙げてもらいましたが、

「太宰治」

「いしいしんじ」

「福永武彦」

「芥川龍之介」

「三島由紀夫」

「古事記」

「恒川光太郎」

「泉鏡花」

とやや近代日本文学作家が多かったです。

■泉鏡花 Lv.

私自身も泉鏡花を読んだのはここ1年ほどで、まだ7,8作品しか読んでおらずファンとはおこがましくも言えないレベルです。そこで今回は強者もいるであろうという予測の元、

泉鏡花Lv=最初に読んだ年齢~現在までの年数+読んだ作品数

を皆さんに提出して頂きました。

結果としては

Lv.1程度の方々が数名、Lv.5が2名、Lv.13が1名、そしてLv.30が1名と言う結果に!!

最高Lvの方はドラクエIIIで例えるならネクロゴンドの洞窟をクリア出来るか出来ないか、といった非常にぎりぎりを攻める高レベルの手練れと言っても過言ではないでしょう。

お一人、当日の読書会には不参加だった方がいるのですが、殆どの作品を読んでいると話されていたの、もしかしたらLv.99越えかもしれません。

 

■実は難しくはない「高野聖」

この高野聖は鏡花の作品群の中でも最も有名、かつ評価の高い物語でしょう。

鏡花の転換点ともなったといわれており、幻想文学の第一人者たる評価はこの作品による部分が大きいのかもしれません。

初読の方も数名いらっしゃり、やはり読みにくくて中々ページが進まない、と言う声を聞きました。

しかしこの高野聖は鏡花の作品の中では相当によみやすく、かつエンターテイメント要素も含めわかりやすい構成になっていると個人的には思います。

女性の参加者が多かったので「耽美的」「情景の描写が美しい」「官能的で神秘的」「異性から見た母性を表している」「湿度」「声を出して読む文章では」と言った表現や意見が聞かれました。

     若かりし頃の鏡花​
その他の作品もかっこいい。歌行燈はロードムービーの様。
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■泉鏡花「潔癖症伝説」

泉鏡花と言えば潔癖症であったことが知られており、特に食べ物や口に含むもの関しては異常なほど気にしていたそうです。
写真を見る限り確かにかなり神経質な印象を受けますが、今の時代に生きていたらアイドル扱いされそうなくらいの塩顔系イケメンですね。

例えば空気中の「菌」が入ることを異常に恐れることから、

  • やかんや急須の注ぎ口を紙で全てふさぐ、
  • 戸棚に虫等が入ることを防ぐ為に夜な夜なタンスに食器をしまう(タンスにもシロアリや小さい虫等がいる気もしますが・・・)
  • リンゴなど手で食べるときは手を触れた部分は食べない(その前に散々農家の人が触ってるような気も)、
  • 宴会で刺身が出てきても生ものは決して口をつけず、必ずくたくたになるまで火を通してから食べる、
  • 酒は必ず熱燗、否沸騰させてから飲む、

    事などを徹底していたようです。

この潔癖症な部分は作品にも影響を当然与えていて、豊富な語彙から生み出される、美しく変幻自在な文体へのこだわりにも、相通ずるものを感じずます。

読みにい作家、と言う印象が一般的であり、かなりのモチベーションがないと読み進めるのが大変なのは確かですが、もっと多くの人に泉鏡花の作品を読んでもらいたいなぁと読書会を終えて強く感じました。

漱石、谷崎、鴎外、と言った有名どころに匹敵する、むしろある部分においては凌駕する力を持った作家な気がします。