第14回 紅茶と読書会 報告
課題本 「バナナフィッシュにうってつけの日・笑い男
from ナイン・ストーリーズ」
J・D・サリンジャー 著
2019/7/27@雑司ヶ谷
1932年 発行
かつて某アイドルが「最近はまってる」とラジオで言った事で、
爆発的に売れた「ライ麦畑でつかまえて」。
本を読まない人でもタイトルは知っている有名な小説です。
しかしその名に比して、人物的には謎も多いサリンジャー。
今回はそのサリンジャーの自選短編集であるナイン・ストーリーズから
二編を選び課題本としました。
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以下内容に触れる箇所もございますのでご了承ください。
-ご挨拶-
紅茶と読書会 第14回 「バナナフィッシュにうってつけの日・笑い男」のレポートです。 今回は9名の方にお集まり頂き、初参加の方が2名でした。
今回の紅茶
ジンジャーチャイ
ラベンダーブレンド ジンジャーブレンド アッサムTB
本日のお菓子・東京ばな奈「見いつけたっ」
■バナナフィッシュと言う漫画
課題本を決める際、過去に読んだ事のある本から選ぶことが多いのですが、そろそろ手持ちの駒が少なくなってきたなぁと思っていた頃、積読棚にあった「ナイン・ストーリーズ」が目に入りました。
サリンジャーか、ふーむと思いページをめくると、一話目の題名が「バナナフィッシュにうってつけの日」とあるではないですか。
この「バナナフィッシュ」と言う語句は知る人ぞ知る、吉田秋生作の少女マンガのタイトルにもなっているのですが、その事に今更ながら再認識した訳です。
子供の時にかなりのお気に入りだったので、すぐさま課題本に選びました。
まぁ時間がないときは短編にを選ばざるを得ないという理由もあるのですが。。
しかしこのタイトル、かっこいいですよね。
時間がないときは短編に必然的になってしまうという理由もあるのですが。。
■厭世家 変人 サリンジャー
1953年に「ライ麦畑でつかまえて」を出版したサリンジャーは、この小説の大ヒットにより一躍世時の人となりました。しかしこうした注目や名声を負担に感じた彼は、その後二度と公の場に姿を現す事はなかったそうです。
一説によると片田舎の高い塀に囲まれた家に住んでいたとか、街の行事に参加することもあり子供たちとも交流していたとか、様々なことが言われているようです。
ライ麦はアメリカで現在も年間25万部以上売れいるそうで、まさに伝説の作家と言ったところでしょうか。
■ナイン・ストーリーズを読んで
2名は過去に読了した事がありましたが、その他の方はサリンジャー自体初読の方が多かったです。
読後の印象を書いていただきました。
「じゃがいもみたいな顔をした笑い男。
捕まえられそうでつかめない、もどかしい読後感。
すごーく良かったです。ほかの作品も読んでみたい!」
「感覚的な文章についていけないとこもありましたが、
世界観は美しく読みやすいものでした。」
笑い男
「読み始めは冒頭の話で悲しい物語が続くのかと思って読み進めていたら、
全く別の話が展開して驚いた。二つの話が絡み合って楽しく読めた。」
「キャッチャーミットをはめて外野でにこにこしている女性と結婚したいです。」
バナナフィッシュ
「戦争とか人生とか色々考えさせられる作品。
一見無駄な描写かとだなぁと思うようなシーンも、
伏線となっているところがサリンジャーのすごいところ。
でも最後の自殺はまだ納得できていないかも。
アニメのBANANA FISHも皆に見てもらいたい。」
「初のサリンジャーでしたが、長く愛されている理由がわかりました。
バナナフィッシュを実際の魚と思い込んでいたのが恥ずかしいかった。
皆さんと話して再読したいと思いました。
笑い男は昔の海外ドラマ「素晴らしき日々」を思い出しました。
失われた少年時代のきらきらした空気まで伝わり、男性読者に愛される魅力なのかと女の私は思いました。」
「生産と消費に対する苛立ち、それがサリンジャー?」
「短編集である以上残りの作品も読んでみたい。
虚構の中に潜む実像がやはりテーマなのではないか、と感じた。
そしてその実像、もまた薄いベール、オブラートに包まれたもののように思う。」
「書かれた時代背景までの知識がなく、表面的な理解にとどまってしまった。
会話の丁々発止は英語で読まなければわからない。」
■読書会を終えて
サリンジャー、恥ずかしながら初読でしたが軽さの中に潜む本質の描き方が非常に素晴らしいと感じました。
このあたりはカポーティやフィッツジェラルドに通ずる、アメリカ文学独特の魅力でしょうか。
バナナフィッシュ~は北野映画のような雰囲気もありますかね。
次回もまたよろしくお願い致します。