Web

第9回  紅茶と読書会  報告  

課題本 「舞姫・うたかたの記」

 森鴎外 著

2019/1/12@雑司ヶ谷

1999年 発行

~森鴎外の自伝的作品 ドイツ3部作~

明治中期、官僚、軍医としてドイツに留学した森鴎外。

その時の体験から生まれたドイツ3部作のうち、

エリスのモデルについて、またその内容も発表当時論争を呼んだ舞姫。

日本人画家がモデルとなった悲恋の物語・うたかたの記

それぞれベルリン、ミュンヘンを舞台がとなり、

実際の出来事と相まって、歴史的ロマンを感じさせる作品である。

 ------------------------------------  

以下内容に触れる箇所もございますのでご了承ください。

-ご挨拶-

  紅茶と読書会 第9回 「舞姫・うたかたの記」のレポートです。

 今回は10名の方にお集まり頂き、初参加の方が3名でした。

 今回の紅茶

  1. ロイヤルミルクティー (Nilgiri Craigmore BOP+牛乳 あまり美味しくなかった・・・)

  2. 鉄観音茶 福建省産(めっちゃ高いやつ 10g 500円)



■2019年読みたい一冊


今回は2019年一回目という事で、参加者の方々に「今年読みたい1冊」を紹介した戴きました。

・ピグマリオン バーナード ショー著 1912年発行

・ボヴァリー夫人 ギュスターヴ・フローベール著 1856年発行

・コレラの時代の愛 ガルシア・マルケス著 1985年発行

・100年の孤独  ガルシア・マルケス著 1967年発行

・春琴抄 谷崎潤一朗著 1833年発行

・神曲 ダンテ・アリギエーリ 著 1304~1328頃年発行

・資本論 カール・マルクス 著 1867~1894年発行

・劇場 又吉直樹 著 2017年発行

・井伏鱒二作品  ・ロシア芸術関連作品

現代日本の本は1冊のみですね。

流石に皆さん森鴎外の読書会に参加するだけあって、かなりマニアックな作品が並ぶ事になりました。

 

■教科書の定番、あまりにも有名な「舞姫」

森鴎外と言えば舞姫、舞姫と言えば森鴎外と言われるほど彼の代表的作品である「舞姫」。

高校の教科書に載っていることもあり読んだことある方も多いのでしょうが、主催者は恥ずかしながら読んだことがなく、今回が初読となりました。 

うたかたの記と供に擬古文で書かれた作品であり、現代小説の3倍程度は読むのに時間がかかるでしょうか。

またはたしてこの理解で正しいのか不明点もありつつ、現代語訳の力も借りながら読み進めました。

読書会界隈でもあまり森鴎外ファンには会ったことがないので、やはり現代人にとっては中々手が伸びにくい作家である事は間違いないようです。

 

■舞姫の主人公はクズなのか

「舞姫」は高校生の時に読んだ方も多く、その時は「豊太郎なんてひどい奴なんだ!クズ男!」と言った意見が教室に吹き荒れたと言います。

しかし久しぶりに読み返してみてもやっぱりクズだった、と言う方もいれば大人になって人生経験も積んだ状態では豊太郎の気持ちもわかる、と言う声も聞こえました。特に男性に多かったですね。 

反面、「うたかたの記」は主人公の巨勢とマリイの出会い~偶然の再会のと言う部分は現代日本のアニメ的もいえる展開でしょうか。このままいい感じでいくのかな?と言う淡い期待と、馬車で湖に近付いていく場面あたりから漂う何やら悲劇的な予感も漂います。

二人が馬車に乗り、強い雨に打たれながら湖のほとりを疾走するシーン瑞々しい描写が印象に残った方も多かったです。

■時のバイエルン国王  ルートヴィヒ2世


今回のドイツ2作品にいずれにも当時のバイエルン国王ルートヴィヒ2世が登場します。

建築と音楽を偏愛し、シンデレラ城ものモデルとなった「ノイシュヴァンシュタイン城」や「バイロイト祝祭劇場」を作らせたのもこの人です。物語での様子の通り、破滅的性質を持ち合わせ「狂王」との異名をとった王様です。

若い時は非常にイケメンだったようですね、こんな感じです。

この角川のシリーズと毎年出る新潮カバーシリーズ良いですよね

確かにイケメンではありますが、同時にやばそうな雰囲気も醸し出していますね。

当時ドイツでブイブイ言わせていた作曲家・ワーグナーのパトロンでもあり、専用の劇場まで作ってあげた訳ですが、それが前述の「バイロイト祝祭劇場」です。
当時日本からの留学先と言えばドイツと言う時代で、ワーグナーの生み出す音楽は日本人留学生の間でも評判となっていたようですね。鴎外も彼の作ったオペラを当地で鑑賞した記録が残っています。

 

近年クラシックに趣味が移りつつある身としては、勝手にこのあたりの話が熱いなと思ってしまった次第です。

By Franz Hanfstaengl - fr:Image:RichardWagner.jpg, where the source was stated as http://www.sr.se/p2/opera/op030419.stm, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=55183

↑こちらがワーグナー

 

この人もかなりやばい雰囲気が出てますね。実際かなりとんでもない人だったようです。

アンチユダヤ的な思想があり、後年子孫がヒトラーと懇意となり、ナチスの集会で度々ワーグナーの音楽が使用されたと言うのはかなり有名な話ですね。

ベトナム戦争を描いたF・コッポラの映画「地獄の黙示録」で使われた

ワルキューレの騎行など、
気分を高揚させる力は確かにはすさまじいものが有ります。

他にもお勧めは「タンホイザー 序曲」「さまよえるオランダ人 序曲」 

この辺りの曲もかなりアガる感じが有りますね。あらゆるスポーツの試合前に控室でワーグナーがかかっていたら、確実に荒れる展開が予想されます。

毎度報告が遅くなりまして不徳の致すところであります。今回は楽しようとする準備すらしなかったのが原因です。

​次回はすぐにアップできるよう参加者の皆さんに何かやってもらおうかなと思いますので、よろしくお願い致します。

読書会でクラシック同好会みたいなものが出来ればいいかなぁとちょっと思いました。

​興味のある方はお問い合わせください。