2021_アートボード 1

第26回  紅茶と文学  報告  

課題本 「神を見た犬」

 D. ブッツァーティ著

2021/2/6@吉祥寺

 

■第26回

緊急事態宣言の最中、2021年になって初めての読書会を開催しました。

読書会をやるかどうか悩みましたが、ツイッターでアンケートを取ったところ約半数の方がリアル読書会を希望していたので、対策をしながらやれば大丈夫だろう、
ということで行いました。

以下内容に触れる箇所もございますのでご了承ください。

 
光文社新訳版

-ご挨拶-

 今回は7名の方にお集まり頂き、初参加の方が3名でした。

今回の紅茶

    1. 煮出しミルクティー
      久しぶりに煮出しミルクティーを出してみました。
      チャイのスパイス無いバージョンですね。

■吉祥寺にて開催

今回の会場もブックマンション@吉祥寺。
今回はお店番→読書会という流れにしました。

毎回読書回後の食事回は楽しいのですが、この状況なので残念ながら出来ません。

いつかまたできる日までぐっとこらえます。

今回は切り絵デザインからインスパイアされ、光る看板を作成し置いてみました。
昼はあまり目立たなかったんですが、夜は本領を発揮し怪しく光うごめくネオンサインとなりました(笑)。

気になる方がいたら作り方を教えますのでご連絡ください。

オリジナル紅茶はシンプルに
「ニルギリ」「アッサム」の二種類を中心に並べてみました。

並べた紅茶

夜、入り口にて紫に光る羊と紅茶看板!

■多才な変人・ブッツァーティ

読書会界隈では密かに面白いと話題なっていたブッツァーティの「神を見た犬」。

たまたま古書店で見つけ、なんの気なしに読み始めると、これがまた面白い。

不条理と、不気味さ、そしてブラックなユーモアが満載。世界のどの場所でも再現されるであろう、物語の普遍性も兼ね備えていて、一気読みしてしまいました。

カフカにも似ているのですが、カフカよりは現代に近いのでより読みやすい。

日本での知名度はそこまで高くないですが、イタリアでは名の知れた人で
新聞記者、劇作家、画家、そして小説家として成功を収めています。

そんなブッツァーティですが、私生活ではイタリア男ど真ん中のマザコンで、60歳にして初めて母親以外の女性と暮らした、と言う逸話も持っています。

恐ろしい印象もありつつ、「グランドホテルの廊下」などは昔のドリフをコントを見ているかの様で笑えます。このあたりのバランス感覚が人気の理由なんでしょうね。

■好きな短編、そして「7階」の表現者

殆どの方がブッツァーティを知らなかったらしく、知らない作家の課題読書会に来てもらえるなんてありがたい事!、と感じました。

今回は参加者の方に好きな短編とその印象を書いて頂きました。

さらにある参加者様が描いた、「7階」を表現する絵が素晴らしかったので掲載させて頂きます。

2. コロンブレ

ステファノの海の愛と、コロンブレの不安から感じる生の実感の描写が好みドンピシャでした。「奈落の底を覗いてみたい誘惑」にステファノ同様とても惹かれました。

12. 1980年の教訓

最後にわざわざド・ゴール以外は全て架空と注を入れているのに、結局ド・ゴールを生かしておくということは彼に恨み?があったのだろうかと思いました。
全体的に、世間や他人の顔色を伺って不安が起こるところから、不条理な世界へと導く話が多く
「日本人だけが人様の顔色を気にしている訳ではないんだな」と感じ、とても面白かった。

12. 1980年の教訓

ド・ゴールいじりがすごすぎて声を出して笑った。神の仕事が雑、権力者を死なそう→そして誰もいなくなった、HAPPY、と言う展開に笑った。こんな風に自由に創作をしてみたい。

7. グランドホテルの廊下

夜中のホテル、トイレの前で他人と鉢合わせて気まずくなって通り過ぎ、すれ違う。
自分的にめちゃ共感できる。

16. わずらわしい男

自信満々に話しをされると圧倒されてしまいますね。
聖人をも説き伏せるトーク力、私も欲しいです。

5. 7階
おりいぃぃぃぃ、こわいようぅぅぅぅぅゔゔ。

■開催後記

3回連続でブックマンションでの読書会となりました。

ブッツァーティは自分で表紙や挿絵も描いている「シチリアを征服したクマ王国の物語」と言う児童書も出していて、この絵がなんとも絶妙なヘタウマかつ可愛らしい感じなので、こちらも是非読んでいただきたい本となります。

今回の短編集の中では7階が特に人気がありました。

次回開催は3月か4月です!
あとは映画を語る会とかお花見(出来たら・・)など考えています。
ご要望があればフォームよりお気軽にどうぞ。

今後ともよろしくお願い致します。